自社株を引き継ぐときには税金がかかる?

長く経営をしてきた会社を後継者に引き継ぐとき、事業そのものの承継の他に

問題となるのが、「自社株」。

業績が悪く利益剰余金の無いような会社ならば資本金とほぼ同額で大きな問題も

ないのですが、堅調に経営をされてきて資産が大きくなってしまった会社の場合、

株式の評価が高くなってしまって、後継者へ贈与または譲渡する場合に多額の

税金が課せられてしまいます。

株式の承継方法と、かかる税金等のお金の一例

〇贈与

後継者の方へ株式をタダで差し上げる方法です。

1年間に110万円を超える評価額分を贈与すると贈与税の対象となります(暦年課税の場合)。

時価総額の低い(目安500万円以下)会社であれば110万円以内分を毎年贈与していくという

方法も取れますが、1,000万円の会社でも10年間、5,000万円の会社だと50年近くかかってしまう

という点で、時価総額の高くなった会社には向きません。

〇相続

社長が死亡した時に、遺言書によって「会社の株式は〇〇へ相続する」という意思を遺し

後継者へ相続させることが出来ます。

贈与と同じくタダであげることが出来て、贈与の場合よりも税金が安くて済むのですが、

「死ぬまであげられない」という点が最大のデメリットです。

また、後継者以外の子息など他の相続人がいる場合は遺留分を考慮して株式以外の財産の

振り分けも考える必要があります。

〇会社で買取

株式を会社が買い取ることも出来ます。

会社が保有する自社株は議決権がなくなります。

例えば発行済み株式が100株あるような場合は、99株を会社で買い取り1株だけを後継者へ

贈与するという方法で全議決権を後継者が持つということが可能になります。

ただし、いつでもいくらでも自社株買い取りが出来るわけではなく、買取可能範囲などには

一定の制限があります。

また、例えば出資時1,000万円の株式を時価の1億円で買い取ったような場合、増えた分の

9,000万円については「みなし配当所得」として源泉所得税の対象となるので注意が必要です。

いずれの方法も、それぞれのメリットデメリットがあります。

共通して言えるのは「タダでは株式は承継出来ない」ということです。

しかし、株の評価を下げることによって、その金額をある程度下げることは可能です。

具体的には

・利益を圧縮する

・評価を下げる

という方法があり、その手段として生命保険が有効活用出来ます。

詳しくはお気軽にご相談下さい。

生命保険で株式評価を下げる

以前の記事で自社株の評価を下げるのに生命保険が有効と書きました。

具体的にはどういうことか、

株式の評価をする際の大きな要素として

・利益の額

・資産総額

があります。

この二つに影響を与えることによって、株式の評価を下げるというものです。

〇利益を圧縮する

法人で加入した生命保険の保険料は、商品によって全額もしくは半額が損金算入できる

場合があります。

この損金になる生命保険に加入し保険料を支払うことによって利益の額を圧縮することが

出来ます。

ただし、損金になるからとって掛け捨ての保険ですと単なるお金の放出になってしまうので、

損金になりかつ将来解約返戻金が受け取れる保険を活用して、利益の圧縮と退職金等の

準備を同時に行うことが大切です。

〇資産の額を下げる

株の評価を行う際は、会社の資産を「時価評価」します。

生命保険の時価は、その時点の解約返戻金額です。

先ほど、将来解約返戻金のある保険をお勧めしましたが、解約返戻金のある保険の中でも、

契約から数年間は解約返戻金額が低く抑えられている商品があります。

たとえば、契約から5年目の解約返戻金は、支払保険料の30%で、

10年目の解約返戻金は支払保険料の95%という商品があれば、

保険契約から5年目に株式評価を行い、10年目に解約をして退職金原資にする、とった

活用が出来ます。

いずれの方法もスムーズな事業承継に有効な手段ですが、しっかりと制度設計をする

場合にはかなり高度な知識を要します。

顧問税理士や企業保険に長けたコンサルタントへのご相談をお勧めします。

「誰に聞いてよいか分からない」という方は、ぜひ(株)ぶらんけっとへお問い合わせ下さい

退職金の払われ方で受取額が違う!

今回は役員退職金のお話です。

私たちが退職金と言っているのはいわゆる「退職一時金」のことです。

退職した時に、ありがとうの気持ちを会社からお金で示して頂くわけです。

この時に受け取る金額を、月々の給与に上乗せしてもらうと

どうなるでしょうか。

今回の例は

①月額給与50万円 退職一時金を3,600万円もらった場合

②月額給与65万円(3,600万円を「前取り退職金」として給与に反映させた形)

上記の2パターンで見てみましょう。

残りの勤続年数は20年と仮定しています。


まず先に覚えて頂きたいのが

給与と退職一時金に対する税金の計算方法は違います。

具体的に計算していきましょう。

①の場合

まずは給与に対する課税額の求め方です。

月額50万円ですから、年収で言うと600万円ですね。

ここから各控除の計算です。

600-174(給与所得控除)-38(基礎控除)-89(社会保険料控除)

=299万円になります。

(※社会保険料控除は分かりやすくするため四捨五入しています)

この299万円に対して所得税と住民税の計算をします。

<所得税>

299×10%(所得税率)-9.75(所得税控除)=20.15万円(1年間)

<住民税>

299×10%(住民税率)=29.9万円(1年間)

次に退職金に対する課税額の計算です。

退職所得控除を加味したうえで、半分にした額が課税対象となります。

<所得税>

(3600-800(退職所得控除))×0.5×33%=492万円(所得税)

<住民税>

(3600-800(退職所得控除))×0.5×10%=140万円(住民税)

これらを全て合計すると20年間でかかる課税額合計が分かります。

(20.15×20)+(29.9×20)+492+140=1,633万円

受取額は

15,600万円(総収入)-1,633万円=13,967万円になります。

②の場合

こちらは給与所得だけの課税額を計算します。

月額65万円ですから、年収は780万円です。

計算方法は、①の場合の給与に対する課税額計算と同じです。

各控除額を見てみましょう。

780-198(給与所得控除)-38(基礎控除)-106(社会保険料控除)

=438万円

<所得税>

(438-42.75(所得税控除))×20%=79万円(1年間)

<住民税>

438×10%=43.8万円(1年間)

20年間の課税額合計は

(79×20)+(43.8×20)=2,456万円

よって受取額は

15,600万円(総収入)-2,456万円=13,144万円です。

2パターンを実際に計算してみると

①の方が②より、受取額は823万円も違うということが分かります。

同じ収入額でも、退職金に対しては課税対象額が低くなるように

設定されているため実際に受け取る金額が変わってくるということですね。

しかも、給与には社会保険料も課せられるので、実際の受取額や会社負担額は上記の計算以上に差が出ます。

役員報酬を必要以上に高く設定するよりも、その分退職一時金に回したほうが

受け取れる金額は大きくなります。

会社、役員双方にとってメリットがありますので、改めて受取方法を考えてみるのも良いと思います。

保険会社によって違う結果が出る体況査定の結果

一部の商品を除き、生命保険に加入するときには、健康診断書の提出や医師の診察の受診によって、お体の状態(体況)を調べられます。

過去の病歴や、現在服薬中の薬、定期検診の結果数値などによって査定をされるのですが、この査定の基準が保険会社によって大きく異なるということをご存知でしょうか。

弊社のお客様を例に取ると、

○K様(50代男性)

 過去に大腸ポリープの切除有り、

 現在血圧降下剤と、コレステロール値改善の薬を服薬中

保険加入のため、医師の診察を受診

結果・・・T保険会社→無条件引受可

     S保険会社→無条件引受可

     O保険会社→特別条件(保険金2年削減)

     M保険会社→特別条件(保険金2年削減、割増保険料徴収)

○D様(30代男性)

 幼少期に心臓の手術歴有り、

 以降定期的に病院にて経過観察中、現在異常なし。

保険加入のため、健康診断書を提出いただき過去の手術歴を告知

結果・・・O保険会社→謝絶(引受不可)

     M保険会社→謝絶

     A保険会社→謝絶

     N保険会社→健康体料率引受可

というように、同じ方でも保険会社によって全然違う結果が出るということが起きます。

特に二人目のD様、ほとんどの保険会社で断られてしまうものが、一つの保険会社は引受が出来るどころか、「健康体」という通常よりも安い保険料でご加入が出来ました。

これは、N保険会社が大昔の手術歴ではなく現在の健康診断書の内容を重視して査定を行う保険会社だからということです。

もう保険には入れないと半ば諦めていたD様は、大変喜んで下さいました。

よくお話しをしていると、「私、保険入れないんですよね~」と言う方に会いますが、それはその方が保険に入れないのではなくて「たまたま手続きをした会社で入れなかった」だけかも知れません。

もし保険に入れないと一度言われた方でも、

いや、そういう既往症をお持ちの方だからこそ、

保険の加入を諦めないで、

一度ぶらんけっとへご相談下さい。

無診査で新しい保険契約を結ぶ方法

今日は企業向け生命保険の話しです。

企業には創業時・成長期・事業承継時・・・など様々な状態があり、その都度生命保険の契約内容を見直す必要があります。

例えば、事業を始めたばかりの時に入った、保険料が安い掛捨ての保険を見直して、成長期にあった積立機能のある長期平準定期保険や終身保険に入りなおす、といったことが考えられます。

では、生命保険を切り替えるタイミングになった時に、手術歴などで新たに保険契約に加入するのが難しい健康状態になっていた・・・というときはどうすれば良いでしょうか。

「コンバージョン」という制度があります。

これは元々契約していた保険金額から、解約返戻金額を差し引いた額までで

新たに保険金額を設定し、違う内容の契約を結ぶことが出来るものです。

つまり、病気をしていても(入院中を除く)、大きな手術を経験していても、以前の契約と引き換えに新たな保険に加入できるということ。

万が一の保障がゼロになってしまうと

残された従業員や遺族に対して負担が重くのしかかってきます。

保険期間が残り少なくなってきたのに、ガンなどの重大な病にかかって

しまった・・・重大疾病に対する保障も無く、この健康状態では新たに

契約を結ぶことも出来ない・・・

そんな時に、コンバージョンは検討に値するのではないでしょうか。

メリットは「無診査」で新たな契約内容を結ぶことが出来ることですが

全ての契約がコンバージョン制度を利用できるわけではありません。

今契約している保障がコンバージョンを利用できるかどうか、確認しておくと良いでしょう。

不動産投資の小口運用

札幌にある、生命保険専門の保険代理店(株)ぶらんけっと です。

今回は保険から少し離れて、商用不動産の小口投資についてお伝えします。

信託会社等が購入した不動産の受益権を、1個1,000万円程度の小口に分割し

それをお客様が購入して、相続財産の評価減や収益を期待するというものです。

簡単に言うと、1棟数億円以上する投資用不動産を信託会社が一括購入してくれてお客様は1,000万円単位の好きな範囲で、小口投資出来るシステムです。

これによるメリットは

①不動産をまるまる買わなくても、その不動産受益権を一部得られること

②相続税対策になること
です。

 

①は個人の財産の範囲で投資が可能ということです。

東京都心の数億円以上する高額な投資物件であっても、不動産購入は信託会社が行うため個人投資家は一口1,000万円と手ごろな範囲で投資が行え、購入後の不動産管理など、保有することの煩わしい手間も省くことが出来ます。

 

②は税法上、不動産の評価減が適用されることです。

税法上の評価にあたる、路線価に比べて価格が高騰した不動産を投資対象とするため、例えば1,000万円を投資したとしても、評価額が200万円と、8割の評価減が出来て、相続税の節減効果があります。

1,000万円の現金を持っていると、相続・贈与の際に課税対象となるのは

1,000万円を元に計算されます。

ところが不動産に対しては「税法上の評価」で決まるため、この手法によって課税財産の圧縮効果が見込める。というわけです。

 

資産運用と同時に、節税にもなる仕組みですので、

相続・贈与で悩まれている方は手段の一つとして、検討してみてはいかがでしょうか。

解約返戻金があればお金を借りられる

以前、保険料が支払われないと・・記事の中で

自動振替貸付という制度がありましたが、

今回は契約者貸付についてご紹介します。

 

契約者貸付というものは、解約返戻金から一定の範囲内で保険会社からお金が借りられるというものです。

保険会社がお金を貸すという点では前回の自動振替貸付と同じですが、自動振替貸付は、保険契約継続のためだけに保険会社がお金を立て替える制度です。

対して契約者貸付については、借りたお金を、会社の設備投資や事業の運転資金、その他一時的にキャッシュが必要になった時などその使い道については契約者の自由、ということです。


また、資金調達のスピードや返済の自由度という点でも契約者貸付制度は優れていて、

銀行から融資を受けるときは、与信等でそれなりの時間がかかってしまいますが契約者貸付は保険契約が担保となるため審査が必要なく、書類上の手続きのみで済むため、通常1週間程度で簡単に借りられます。

また契約者からの請求のみで済むため、被保険者や保険金受取人の同意を必要としません。

返済は、返済日時点の利息以上の金額であれば契約者の好きな日に好きな金額を返すことが出来ます。

特に、法人で積み立て式の保険を契約している方は覚えておくと良いと思います。

注意事項としては

①貸付金に対して利息が付くこと

②貸付金+利息の額が解約返戻金を超えてしまうと、保険契約が「失効」する

ということがあげられます。(利息は複利計算です)

②のようなことになってしまうと、万が一の保障も無くなってしまうため

保険契約の意味もなくなってしまいます。

返済計画まで見据えた上で、貸付を受けることにしましょう。

経営セーフティ共済

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)という制度があるのを

ご存じでしょうか。

中小企業基盤整備機構(以下 中小機構とする)という

経済産業省所管の独立行政法人が運営する制度で、

昭和53年に発足し、平成27年現在では38万件の方にご利用頂いている

資金調達手段の一つになっています。

掛け金は5,000円~20万円の範囲で5,000円刻みで選択することが出来て、

800万円に達するまで積み立てることが出来ます。

加入後6か月が経過し、その間滞りなく掛け金が払われている場合に

共済金が貸し付けられます。

「積み立て掛け金の10倍」もしくは「被害額」どちらか少ない範囲内で

8,000万円の貸付を受けることが出来ます。

この制度のメリットとしては

・共済金の貸付が無利子であること

・担保・保証人が不要であること

・掛け金を全額損金に計上することが出来ること

があげられます。

取引先が倒産した際に共済金の貸し付けが受けられる、というイザという時の制度ですが、

企業ではそれ以外に、財務ツールとして利用されていて、

掛け金が全額損金算入出来て、40か月以上経過すると掛け金の100%が解約手当金として戻ってくる、というものです。
解約するタイミングによっては赤字補てん対策や退職金原資として活用出来るため、効率的な積み立て方法になるでしょう。

この財務ツールとしての使い方は生命保険と非常に似たところがあります。

掛け金が年間240万円、トータル800万円という上限があるので、この上限に達した後に生命保険による簿外資産形成を考えるのも良いでしょう。

ノンスモーカーの方は保険料がお得に

生命保険の保険料は、保険会社が男女別に割り出した死亡率をもとに

計算されています。

計算の仕組みとして、例えば

「今は女性の方が長生きだから、死亡保障に対するリスクは男性より

女性の方が低い。その分保険金を支払うことも少なくなるんだから

男性よりも保険料は安く出来るなという考えなわけです。

このように保険会社では様々な要因をもとに、保険料を設定しています。

そんな中、「タバコを吸う・吸わない」ということも一つの要因として

注目されてきています。

ガンや循環器系疾患で亡くなる喫煙者の方は、非喫煙者の方より多く

長く吸っていれば吸っているほど病気のリスクも高くなります。

そこで「タバコ吸ってない人は、吸っている人より死亡するリスクが

より低くなるんだから、その分安く保険料を設定してあげよう!」

という考えから生まれたのがノンスモーカー料率(非喫煙料率)です。

保険会社によって、この料率を採用しているかどうかが分かれるため

同じような保障内容であったとしても、タバコを吸わないために

別の会社で検討したら保険料が安く出来た、ということもあるわけです。

比較・検討することで、保険料の見直しが出来ることもあるので

ノンスモーカーの方は是非覚えていてください。

変額保険

今回は変額保険についてお伝えします。

変額保険は通常の定額保険と違い、保険料の一部を投資信託等で運用し、運用結果に応じて保険金や解約返戻金の額が変動する保険です

運用によっては契約当初の保険金(基本保険金額)より多く受け取れる事も、下がってしまう事もあります。

変額保険には大きく分けて

 ①変額保険(有期型)

 ②変額保険(終身型)

 ③変額個人年金保険

の3種類に分けられます。

どれも運用リスクは抱えている商品ですが、保険としての最低限の機能を持たすために、共通して死亡時の基本保険金額は保障されています。

ただし、満期を迎えた時に受け取れる保険金や解約返戻金は保障されていません。

変動のリスクは契約者自身が負うことになるためご契約の際は十分に商品の仕組みを理解して契約することが必要です。

前回保険料が支払われないと どうなるか、ということをお伝えしましたがこの変額保険についても注意が必要です。

定額保険は、自動振替貸付が適用されると、保障の内容は変えずにそのまま継続されますが、変額保険についてはそもそも自動振替貸付ができません。

解約返戻金がある場合は、自動的に定額の延長定期保険に変更されます。

また払い込み期間猶予期間も月払い・半年払い・年払いによって違いは無く、どれも払込期月の翌月1日~末日となります。

変額保険は運用リスクがあるということ、保険料未払いの後の措置が定額保険と異なることを理解しておきましょう。

リスクを理解したうえで、自分のニーズに合えば、運用結果が楽しみな金融商品の一つになりますね