退職金の払われ方で受取額が違う!

今回は役員退職金のお話です。

私たちが退職金と言っているのはいわゆる「退職一時金」のことです。

退職した時に、ありがとうの気持ちを会社からお金で示して頂くわけです。

この時に受け取る金額を、月々の給与に上乗せしてもらうと

どうなるでしょうか。

今回の例は

①月額給与50万円 退職一時金を3,600万円もらった場合

②月額給与65万円(3,600万円を「前取り退職金」として給与に反映させた形)

上記の2パターンで見てみましょう。

残りの勤続年数は20年と仮定しています。


まず先に覚えて頂きたいのが

給与と退職一時金に対する税金の計算方法は違います。

具体的に計算していきましょう。

①の場合

まずは給与に対する課税額の求め方です。

月額50万円ですから、年収で言うと600万円ですね。

ここから各控除の計算です。

600-174(給与所得控除)-38(基礎控除)-89(社会保険料控除)

=299万円になります。

(※社会保険料控除は分かりやすくするため四捨五入しています)

この299万円に対して所得税と住民税の計算をします。

<所得税>

299×10%(所得税率)-9.75(所得税控除)=20.15万円(1年間)

<住民税>

299×10%(住民税率)=29.9万円(1年間)

次に退職金に対する課税額の計算です。

退職所得控除を加味したうえで、半分にした額が課税対象となります。

<所得税>

(3600-800(退職所得控除))×0.5×33%=492万円(所得税)

<住民税>

(3600-800(退職所得控除))×0.5×10%=140万円(住民税)

これらを全て合計すると20年間でかかる課税額合計が分かります。

(20.15×20)+(29.9×20)+492+140=1,633万円

受取額は

15,600万円(総収入)-1,633万円=13,967万円になります。

②の場合

こちらは給与所得だけの課税額を計算します。

月額65万円ですから、年収は780万円です。

計算方法は、①の場合の給与に対する課税額計算と同じです。

各控除額を見てみましょう。

780-198(給与所得控除)-38(基礎控除)-106(社会保険料控除)

=438万円

<所得税>

(438-42.75(所得税控除))×20%=79万円(1年間)

<住民税>

438×10%=43.8万円(1年間)

20年間の課税額合計は

(79×20)+(43.8×20)=2,456万円

よって受取額は

15,600万円(総収入)-2,456万円=13,144万円です。

2パターンを実際に計算してみると

①の方が②より、受取額は823万円も違うということが分かります。

同じ収入額でも、退職金に対しては課税対象額が低くなるように

設定されているため実際に受け取る金額が変わってくるということですね。

しかも、給与には社会保険料も課せられるので、実際の受取額や会社負担額は上記の計算以上に差が出ます。

役員報酬を必要以上に高く設定するよりも、その分退職一時金に回したほうが

受け取れる金額は大きくなります。

会社、役員双方にとってメリットがありますので、改めて受取方法を考えてみるのも良いと思います。

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