死亡保障の生命保険の場合、保険の権利義務者は以下のようになっています。
1.保険契約者(保険に加入する人・保険料を支払う人)
2.被保険者(保障の対象になる人)
3.死亡保険金受取人(万が一の際の保障を受取る方)
この死亡保険金受取人の設定には注意が必要です。
人が亡くなった時、財産の配分を目安として考える法定相続分というものがありますが、生命保険の受取人設定は法定相続分より優先されて実行されます。
例えば、奥様と息子さんがいる方の場合、法定相続人は奥様と息子さんですが、死亡保険金受取人がお父さんになっていた場合、死亡保険金は必ずお父さんに支払われて奥様や息子さんが法定相続分を主張することはできません。
これは実際にあった話しなのですが、あるご夫婦(旦那さんをA男、奥さんをB子とします)で、A男さんは独身時代に生命保険に加入していて死亡保険金の受取人をお父様にしていました。
その後、B子さんと結婚したのですが、死亡保険金の受取人をB子さんへは変更しませんでした。
そのうち、A男さんは病気にかかってしまい、若くして亡くなってしまいます。B子さんはA男さんの生前、「死亡保険金の受取人を私に変更してほしい」と相談しましたが、A男さんは 「いやいや、オヤジはB子に感謝しているから仮に保険金が入ってもオヤジはB子にちゃんと保険金を分けてくれるから大丈夫」と言って死亡保険金受取人を変更しないまま亡くなってしまいました。
A男さんの死後、死亡保険金は受取人であるお父様に入ります。
お父様にはA男さんの知らない借金があり、なんと死亡保険金はお父様の借金返済に充てられてしまいました。
B子さんは自身の法定相続分を主張し、死亡保険金の一部を渡すよう、申し出ますが、結局、借金の返済に充てられた保険金がB子さんのところに入ることはなく、B子さんはA男さんの死亡保険金をまったく受け取ることができませんでした。
このようなことが実際に起こってしまいますので、死亡保険金の受け取り人は慎重に設定していただいて家族構成や状況が変わった時には必ず受取人変更をするようにしましょう。
死亡保険金の受取人が誰になっているかは保険証券を見れば解ります。
もし、保険証券をご覧いただいた上でご不明な点などございました時はぜひ、ぶらんけっとまで気軽にご連絡ください。